日々是修養 ダイダイ日誌

日々の修養の備忘録

猫又にならなかった猫


今週のお題「ねこ」

 猫の日ということで私の祖母が飼っていたトラキチ君という猫について書きたいと思います。2年ほど前に他界した私の祖母は一匹の猫を飼っていました。
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 その名をトラキチと言います。このトラキチ君は元々私の従兄弟が拾ってきた野良猫です。野良猫なので正確な歳はわかりません。しかし、拾われてから20年以上祖母と一緒に暮らしてきました。なので、おそらく2年前の時点で20歳、人間に例えると100歳は越えるという長生きな猫です。私は間違いなくコイツは尾が二つに分かれて妖怪猫又になると確信していました。何せ、いつも元気よくニャーニャーと鳴きながらエサを欲しがって部屋中を跳ね回っていたからです。あんなに元気のいい猫はそうそういないと思っていました。

 しかし、4年前に祖母が末期ガンになり、余命幾ばくもない状態になってしまい、三ヶ月も保たないと医者に宣告されたのです。私は家に1人でいる祖母が心配でたまりませんでした。ただ、その時からでしょうか、トラキチ君が祖母の部屋に居座ったのは。家族で祖母を交代交代で世話をしていましたがいつも部屋にトラキチ君がいたそうです。まあ、祖母の部屋が1番暖かい部屋だったからなのかと最初は思っていました。しかし、結果として祖母は宣告された三ヶ月が過ぎてもいつもニコニコしながら笑っていました。その側にはいつもトラキチ君が丸くなっています。どうやら祖母を元気づけようと或いは寂しくないように側にいてくれているようでした。

 そうして月日が経ち祖母は一年七ヶ月生き切りました。最後も家族とトラキチ君に囲まれて安らかに眠りついたのです。その後、祖母の葬式の時、トラキチ君は決して祖母の棺から離れようとはせず目を瞑り丸くなっていました。それから3ヶ月後、トラキチ君も永遠に眠りについたのでした。てっきり、妖怪になってまだまだこの世に居座ると思っていた私には非常に驚くものがあり、悲しかったです。でも、きっといつも側にいた祖母があの世で寂しくないように猫又になる権利を返上してこの世を去ったのではないかと私は想像しています。たぶん、天国で祖母と一緒にニャーニャー鳴いていると思います。もう少し暖かくなったらトラキチ君のお墓にマタタビをお供えに行きたいです。これで一匹の妖怪にならなかった猫の話は終りです。